コウイカの生態的特徴

コウイカの生態的特徴

コウイカは、ごく一般的なイカであることから、地方によってはマイカ(真烏賊)とも呼ばれ、日本人にとっても比較的馴染みの深いイカです。このコウイカは、生態的にちょっと興味深い特徴があるので、ここでご紹介しておきます。

 

 

コウイカの概要

コウイカは、体の中に舟形の硬い石灰質の大きな甲があることから、コウイカ(漢字で書くと「甲烏賊」)と呼ばれています。成長すると、外套背長(がいとうはいちょう。胴体の長さのこと)が15~20cmほどになります。

 

上述のようにマイカと呼ばれることもあるほか、甲の先端が針のように尖っていて体の外に出ているのでハリイカ、墨をたくさん吐くことからスミイカと呼ばれることもあります。

 

繁殖活動

コウイカは、日本では春になると(地域によって異なりますが、概ね3~4月頃から)、産卵のために浅いところに集まって来ます。

 

産卵の前には、オスが体色を変化させながら足を掲げてメスに近づき求愛行動をします。メスが受け入れたら、お互い向き合って足を絡ませて交接し、オスはメスに精子入りのカプセルを渡します。

 

メスはこの精子で卵を受精させ、その卵を海藻などに1粒づつ丁寧に産み付けます。

 

卵は、白色で球形の厚い殻で包まれ、直径は1cmほどあります。産卵時期は初夏頃まで続き、その間、コウイカは何度か産卵します。

 

コウイカの寿命は1年ほどで、産卵活動が終わりしばらくすると死んでしまいます。海岸に、小さな白いサーフボードのような形をしたものが打ち上げられることがありますが、これは死んだコウイカの甲の部分です。

 

産卵後1か月ほどで、外套背長5mmほどの稚イカが殻を破って出て来ます。ほどなく海底に降りて、ケンミジンコ、ヨコエビ、ゴカイなどを食べて成長し、その後、エビ、カニ、魚などを食べてさらに成長し、翌春には産卵に向けて浅いところへと向かうのです。

 

コウイカは、産卵時に、卵を外敵から守るため砂を吹きかけて卵を覆い隠す行動をとるという愛情深い面もあるようです。食べても大変美味しいコウイカですが、時にはこのようなコウイカの生態にも思いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか。

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