イカの血液について
皆さんは、イカの血をご覧になったことはあるでしょうか。「イカをさばいたことがあるけれど、血なんて見たことがない・・・」という方もいらっしゃるかと思います。ここでは、イカの血液の話をしたいと思います。
イカにも血液や心臓がある
例外はありますが、多くの動物には血液があります。血液は、体に取り入れた酸素や栄養分を全身に送る働きをしており、血液を送り出すポンプの働きをしているのが心臓です。そして、イカにも血液があり心臓があります。
しかも、イカの1対のえらには、それぞれの根元に「えら心臓」というものがついており、1つある本来の心臓と合わせて計3つの心臓があります。
でも、イカを丸ごと1杯(イカは、生きているときに数える場合は、「匹」を使うのが一般的ですが、食材として市場に出回ったら「杯(はい)」を使います)さばいていても、魚のように真っ赤な血が出てくることはありません。このため、イカには血が無いと思われやすいのです。
イカの血は無色、だけれど・・・。
魚をさばいていると赤い血が出てきますが、これは血液に「ヘモグロビン」という赤い色素が含まれているからです。人、哺乳類、爬虫類、魚など、背骨がある動物(脊椎動物)のほとんどは、その血液にヘモグロビンが含まれていて、血は赤い色をしています。
一方、軟体動物に分類されるイカは、血液に「ヘモシアニン」という色素が含まれています。ヘモシアニンは無色透明です。このため、イカをさばいた際にも血液は出ているけれども、私たちはそのことに気づきにくいのです。
ただ、ヘモシアニンは酸素と結合すると青い色に変わるという特徴があります。時折、冷凍加工されたイカの身が薄い青みがかった色をしていることがありますが、これはヘモシアニンが時間を経て酸素と結合したことによるものです。ちなみに、ヘモシアニンの影響で薄い青みがかったイカの身を食べても、それ自体で健康上の問題は生じません。
青い血などというと、イカの姿かたちも相俟って、SF映画などに出てくる宇宙人を思い浮かべてしまいそうですが、決して危ないものではないのでご安心を。
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