「未来にはイカは陸上に進出する」という説について

「未来にはイカは陸上に進出する」という説について

皆さんは、遠い未来には、イカが海中から陸上に棲みかを移して生活しているという説を聞いてどのように思われますか。「そんな荒唐無稽な作り話などに耳を貸している暇はない」などとおっしゃるかもしれませんが、これがなかなか面白い話なのです。ここでは、未来にはイカは陸上に進出するという説についてお話したいと思います。

 

 

イギリスのテレビ番組がきっかけ

未来にはイカは陸上に進出するという説は、『The Future is Wild』というイギリスのテレビ番組(2002年制作)の中で取り上げられ、視聴者に知られることになりました。日本では、NHKが『地球ドラマチック』という番組の中でその邦訳版を放送しています。

 

番組の内容は、スタンフォード大学など著名な大学の数多くの科学者にインタビューを行い、500万年後、1億年後、2億年後の地球で何が起こり、どのような生物が現れているかを予想したものです。CGを駆使した映像がふんだんに盛り込まれています。この番組の中で、陸上に進出するイカが出現するのは、2億年後の地球とされています。

 

より発達した知性を獲得する2億年後のイカ

番組の中で、スタンフォード大学のウィリアム・ギリー氏は、生命は、地球上に出現して以来ずっと、より大きく高等な脳を持つよう進化して来ており、将来、イカやタコの仲間は、さらに発達した知性を持つようになると指摘しています。

 

番組の中では、2種類の進化したイカが登場します。1つは「メガスクイード」という、一見ゾウにも似た巨大なイカで、森の中に住んでいます。重さが8トンもあるのですが、骨格がなく、強靭な8本の足の筋肉だけでその重さを支えています。左右4本づつある足をぶつけることなく器用に動かし、スムーズに前に進むことができます。

 

餌は、森に生えているキノコです。メガスクイードの天敵は「スリザーサッカー」という粘着性の菌の塊で、スリザーサッカーは、まるでSF映画のエイリアンのようにメガスクイードの体内に入り込み、脳を刺激することでメガスクイードを思うがままに操ってしまいます。

 

もう1つは、「スクイボン」という、一見テナガザルにも似た樹上に生活するイカです。高度な知性を持つスクイボンは、秩序のある社会で生活を営んでいます。天敵は捕食者であるメガスクイードですが、知恵と組織の連携プレイでメガスクイードに立ち向かいます。

 

番組では、進化には偶然がつきもので、突然変異や環境の変化がいつ起こるかは誰にも予測不可能だし、メガスクイードなどの生き物が2億年後に本当に存在しているのかはわからないとしながらも、恐竜絶滅後に哺乳類が繁栄したように、新しい生き物誕生の限りない可能性がある、として話を締めくくっています。

 

イカは、体の大きさのわりに脳が大きく、脳と体の重量比で見ると、哺乳類や鳥類に次ぐ値を示し、魚類や爬虫類をしのぐことがわかっています。2億年後の地球で陸上に進出しているかどうかはわからないものの、今よりはるかに高度な知性と能力を持つイカになっている予感はしますね。

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