イカにも骨はある!その成分や利用法について
イカは、タコほどではないにしてもグニャグニャとしていて、骨など無さそうにも見えますが、一方で、イカの骨という言葉を耳にすることがありますし、実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、イカの「骨」のお話をしたいと思います。
イカの骨とは
イカには、体の中に舟形の硬い石灰質の大きな甲を持つ「コウイカ」とその仲間がいます。日本でコウイカが生息している本州中部以南では、海岸を歩いていると、小さな白いサーフボードのような形をしたものが打ち上げられているのを見かけることがありますが、これは死んだコウイカの甲の部分です。
この甲のことを、日本語では俗に「イカの骨」、英語では「cuttlebone」つまり、cuttlefish(コウイカ。コウイカ以外のイカはsquid)のbone(骨)と呼びますが、正しくは、骨ではなく貝殻に近いものなのです。
生物の分類学上、イカは、脊椎(背骨)を持つ脊椎(せきつい)動物ではなく、体が柔らかく、頭部・足部・内臓からなる軟体(なんたい)動物に分類され、タコや貝などもこの軟体動物に分類されます。
タコはともかく、貝と同じ仲間と聞くと違和感を感じる方も多いかもしれません。軟体動物は、内蔵が外套膜(がいとうまく)という膜で覆われています。イカなら円錐状の、タコなら袋状の、ちょうど胴体の部分が外套膜にあたります。貝類は外套膜から石灰分が分泌されて貝殻を形成します。
貝の場合は、体の外側に石灰質の殻を形成しますが、コウイカの場合は、身体の内側に石灰質の「骨のようなもの」を形成すると考えると、少しわかりやすいかもしれません。
イカの骨の成分や利用方法
イカの骨は上述のとおり石灰質で、主成分は炭酸カルシウムです。利用方法としては、次のようなものがあります。
- カルシウムやヨードなどのミネラルを補うために、オウムやインコに与えることがあります。
- 「烏賊骨」(うぞっこつ)呼ばれる、止血作用などが期待できる漢方薬として用いられています。
- この他、昔は、加工しやすく耐熱性があることから、金属加工の鋳型に用いられたり、研磨剤として用いられていたこともあるようです。
骨のようだけれど、骨ではない・・・。こうしてみると、食材として慣れ親しんだイカにも、まだまだいろいろな不思議なことが秘められていそうですね。
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