うな重やうなぎの蒲焼きに山椒をかける理由
うな重やうなぎの蒲焼きの薬味と言えば、やはり山椒(さんしょう)でしょう。
私たちは当たり前のようにこの組み合わせを受け入れていますが、そもそも何故?
山椒は、いつ頃からどのような理由でうなぎの薬味として定着したのでしょうか?
文献にあらわれるうなぎと山椒
文献を過去にさかのぼってみると、室町時代の料理書『大草家料理書』(成立は室町時代末期とされますが、詳細は不詳)に
「宇治丸かばやきの事、丸にあぶりて後に切也、醤油と酒と交て付る也、又山椒味噌付て出しても吉也」
と記されており、この頃には、山椒をつけたうなぎが食されていたことがわかります。
宇治丸というのは、京都・宇治川産のうなぎのことです。
また、江戸時代初期の代表的な料理書『料理物語』(寛永20年[1643年]跋刊)にも「なます、さしみ、すし、かば焼き、こくしょう、杉焼き、山椒味噌焼き、このほかいろいろ」あると記されています。
今のように粉山椒をパラパラ振りかけるというものではないようですが、古くからうなぎと山椒の取り合わせがあったことがわかります。
なぜ山椒をかけるのか
上にあげた文献には、うなぎと山椒を取り合わせるようになった経緯や理由は明記されていません。他の文献も同様のようで、このことからか今では諸説取り沙汰されるようになっています。
うなぎに山椒をかける理由として考えられる説
- 昔は養殖物のうなぎがなく、天然物は泥臭さが強かったことから、山椒でその臭みを和らげるため
- うなぎは脂っぽく消化に悪いところもあるので、古くから生薬としても用いられ胃腸を温めて消化を促進するとされる山椒の効果に期待したため
- 昔は風味を楽しむというよりは山椒に毒消しの効果を期待していて、現在もその名残があるため
どれももっともらしく思えてしまうのですが、確かなことは分からないようです。
今では、うなぎそのものの美味しさを味わってもらうために、薬味として山椒を用意していないという、うなぎ屋さんもあるようです。
でも、うなぎの蒲焼きと山椒ってもの凄い合いますよね。管理人は付属の山椒は必ず使い切ります。
爽やかな風味と、小粒でもピリリとした辛さを持つ山椒。うなぎとの取り合わせの経緯や理由ははっきりしませんが、主役のうなぎを引き立てる名脇役として長らく親しまれて来たことには、相応のわけがあるのでしょう。
|
|