食べ方・栄養価・歴史など 皆さんは、「このわた」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。このわたは、ナマコの腸を使った料理なのですが、ここでは、このわたについての お話をしたいと思います。漢字で書くと「海鼠腸」 「このわた」を漢字で書くと「海鼠腸」で、「海鼠(ナマコ)」の「腸」(はら わた)から作った塩辛のことを、このわたと言います。なま「こ」の「(はら) わた」で作ることから、このわたと...
ナマコが水底でちっとも動かずじっとしている様子を見た時に、「生きているのか、死んでいるのかわからない」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもし れません。そこでここでは、ナマコの生死を判定する目安についてお話したいと思います。生死判定の目安 ナマコが生きているか死んでいるかを判断する際は、ナマコの体のしくみなど をふまえ、次のような点に着目するのがよいでしょう。・体が縮んだりするなど、動きはあるか・...
ナマコの値段は、どれくらいで推移しているのでしょうか。また、ナマコはスーパーでも売られているの でしょうか。東京都中央卸売市場(築地市場)の平均卸価格推移 東京都中央卸売市場が公表している『市場統計情報(月報・年報)』で、 築地市場におけるナマコ (鮮魚)1キロあたりの平均卸価格が確認できます。統計を見ると、ナマコの卸価格は夏場(7~8月)に上昇する傾向があることがわかります。日本で ナマコの漁獲...
味付けはお好みでということになりますが、いくつかおすすめの食べ方の例をいくつかご紹介します。わさびや刻んだゆずを乗せ、醤油で 大根おろしや大葉などを乗せ、ポン酢で 白味噌を酢・みりんなどで溶いたタレに浸して 細ネギを乗せ、ニンニク醤油で めんつゆに浸して ナマコの食感は、サザエやアワビと少し似たところがありますがそれよりやや硬めのコリコリとした独特の歯ごたえが特徴です。口から鼻に抜ける磯の香りを感...
ナマコは、お魚屋さんでもあまり見かけないし、見た目や体の色が少し気味が悪くて、調理して あるものでも食べたことがないという方はいらっしゃらないでしょうか。ここでは、そんな皆さん のために、ナマコの味や歯ごたえの特徴についてご説明します。ナマコの味などの特徴 ナマコの味に関しては、ほのかな塩気と磯の風味といった評価が多いです。味よりも後述の独特の食感が強調されることが多いですね。ナマコ自体はそこまで...
ナマコは、近年、中国などへの輸出が増大し、取引価格も上昇していることから 海の「黒いダイヤ」と呼ばれることもある海産物ですが、これに伴って密漁が 横行する事態が生じています。ここでは、ナマコの密猟問題を取り上げたいと 思います。密漁しやすいナマコ ナマコは、共同漁業権(一定地域の漁業協同組合の組合員が、水面を共同に利用 して漁業を営む権利)の対象となっている地域が多く、免許を受けた漁業協同組合の組...
ナマコは、他の魚介類と比べると、お魚屋さんで見かける機会が比較的少なく、いつが旬なのか少しわかりにくい という方もおられるかと思います。ここでは、ナマコの旬がいつなのかについてお話したいと思います。市場での取引数量で見た”旬” 東京都中央卸売市場が公表している『市場統計情報(月報・年報)』によると、 築地市場におけるナマコ(生鮮) の取引数量を確認できます。見た限りでは、まずは冬(12~翌2月)、...
ナマコは、見た目こそ少しグロテスクなところはありますが、中華料理の高級食材と して使われるほか、漢方薬の原料になることもあります。このナマコには、どのよう な栄養成分が含まれていて、どんな効能があるのでしょうか。ナマコの主な成分 文部科学省が公表している『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』の日本食品標準 成分表(魚介類)で、ナマコ(可食部100g。生のもの)に含まれる主な 成分が確認できます...
ナマコは、日本各地の沿岸で漁獲されていますが、特に漁獲量が多いのはどこだと 思いますか?ここでは、統計資料に基づき、ナマコの産地をご紹介したいと思います。ナマコの漁獲量(都道府県別) 少し古いデータになってしまいますが、農林水産省の公表資料『農林水産統計』 (平成18年)を見ると、ナマコ類の漁獲量は、全国で10,344トンとなっています。都道府県別に見てみると、1位は北海道(2,725トン)、2位...
ナマコは、他の魚介類と比べるとお魚屋さんの店先で見かけることも少ないし、調理法もよく わからないという方もいらっしゃるかと思います。ここでは、ナマコの味や食感などの特徴と 調理例を簡単にご紹介します。味や食感などの特徴 ナマコは、サザエやアワビと比べて、水分や塩分は多めですが、甘みやうま味の 成分とされるアミノ酸の含有量は少なめです。ナマコは身そのものの甘みや旨味を楽しむという意味ではサザエやアワ...
皆さんは、ナマコが海の「黒いダイヤ」と呼ばれることがあるのをご存知でしょうか。その色合いや価値の高さからこのように呼ばれるのですが、ここでは、ナマコはなぜ 高いのかについてお話したいと思います。増大する輸出量と高騰する価格財務省の『貿易統計』で、ここ5年の間に日本から輸出された乾燥ナマコの数量および金額が確認できますが統計数値を見ると、統計開始時の2004年と比べると、ここ5年の輸出金額は 約1,...
ナマコは、体が柔らかく触感がプルプルしていることなどから、コラーゲン が豊富で美容に良いと言われることがあるようですが、それは本当なのでし ょうか。コラーゲンとは コラーゲンは、動物の皮膚、腱(けん)、骨、角膜などの組織を構成する 繊維状のタンパク質です。人間の場合、コラーゲンは、体内に存在するタン パク質全体の約30%を占め、うち4割は皮膚に分布しているとされます。また、ビタミンAも、コラーゲン...
ナマコは、中華料理の高級食材として知られていますが、漢方薬の材料にもなっている ことをご存知でしょうか。ここでは、漢方薬の材料としてのナマコについてお話したいと 思います。ナマコに豊富に含まれるミネラル ナマコは、身の92%以上が水分で、脂質や炭水化物があまり含まれておらず、タンパク 質も特段に豊富とまでは言えません。また、一部のものを除き、ビタミン類もあまり含ま れていません。しかしながら、滋養...
ナマコは、旬とされる冬を中心に、生のまま、あるいは乾製品にして、古くから 日本で食されて来ました。また、乾製品は、中国などに輸出され、中華料理の食材 として重宝されています。近年、ナマコの輸出が盛んになり、これに伴って漁獲量 が急増していることから、資源枯渇の懸念が生じ始めるとともに、漁業関係者から 種苗(しゅびょう。水産物の養殖に用いられる卵や稚魚などのこと)供給を要望す る声が高まってきました...
日本では、昔から、酢の物にしたり乾物にしたりしてナマコを食べています。また、お正月の縁起物として欠かせない地域もあります。このように、日本にはナマコを食べる文化がありますが、他の国でもナマコは食べられているのでしょうか。ここでは、ナマコを食べる国や地域のお話をしたいと思いま す。一大消費地である中国 日本ではナマコが食されていますが、毎日のように食べるものではなく、一般消費者にとってあまり馴染みが...
皆さんは、ナマコがどのようにして漁獲されているかご存知でしょうか。ここでは、ナマコの産地として知られる北海道や青森県で行われている漁法を例に、どのような方法でどんな道具を使って漁獲しているのかをご紹介します。いろいろあるナマコの漁法ナマコの漁法には様々な種類があります。北海道庁や青森県漁業協同組合連合会のホームページを見ると、代表的なナマコの漁法として桁網(けたあみ)底曳網(そこびきあみ)潜水[器...
ナマコは、酢の物にして生のまま食べるほか、干したナマコを料理の材料に使ったり、 内蔵を塩辛にしたりします。ここでは、干しナマコの食べ方や作り方をご紹介したいと 思います。干しナマコの食べ方 干しナマコは、そのままでは食べられないので、戻したうえで料理に使います。戻し方 の手順は、次のとおりです。鍋の中に干しナマコを入れ、たっぷり水を注いで1日置き、水を吸わせます。 水を吸ったら、沸騰するまで煮て、...
ナマコは、生のまま、あるいは乾製品にして食されていますが、身に毒が含まれ ていて食べられないナマコがいるのをご存知でしょうか。ここでは、そのうちの 一種で、日本近海にも生息する「ニセクロナマコ」をご紹介します。ニセクロナマコとは 全長は20~30cmほどになります。円筒形の、やや細長い体形をしており、 背中には細かな円錐形の突起が多数ついています。口の周りには20本の触手が あります。体色は紫黒色...
ナマコは日本では昔から酢の物などにして食されており、またところによりお正月料理に欠かせない食材とされています。ここでは、ナマコがいつ頃 から日本人に親しまれてきたのか。食材としてのナマコの歴史についてお話 したいと思います。『古事記』などに登場するナマコ 文献を過去にさかのぼって調べてみると、日本最古の歴史書とされる『古事記』 (712年成立)にナマコを意味する『海鼠』の名が出て来ます。アメノウズ...
ナマコは世界の海に1500種、そのうち日本近海には200種ほどが生息すると言われていますが実際に食用とされているのは数種類です。ここではそのうちのいくつかをご紹介します。マナマコ 全長は40cmほどになります。円筒形をしており、背中にはツノ状の突起が 多数ついています。口の周りには20本の触手があります。体色は、赤褐色、 青緑色、黒色のいずれかで、赤褐色のものは外海に近い岩礁に、青緑色と 黒色のも...