ナマコの旬の時期は?
ナマコは、他の魚介類と比べると、お魚屋さんで見かける機会が比較的少なく、いつが旬なのか少しわかりにくい という方もおられるかと思います。
ここでは、ナマコの旬がいつなのかについてお話したいと思います。
市場での取引数量で見た”旬”
東京都中央卸売市場が公表している『市場統計情報(月報・年報)』によると、 築地市場におけるナマコ(生鮮) の取引数量を確認できます。
見た限りでは、まずは冬(12~翌2月)、次いで春(3~4月)あたりが”旬”と言えそうです。
ナマコの月別の漁獲量については、まとまった確かな統計資料が入手できないことから、あいにくここでは 確かなデータをお示しすることができません。
ただし、この取引数量の数字は、乾製品や冷凍物でなく生鮮物に ついてのものなので、漁獲時期もほぼ同時期と考えられます。
産卵期から見た”旬”
毎年2,500トン前後の漁獲量があり、日本有数の産地である北海道の水産林務部によると、ナマコは、北海道の 各海域で周年獲ることができるものの、各海域で産卵期を禁漁期間と定めているようです。北海道海面漁業調整 規則を見ると、禁漁期は海域ごとに次のようになっています。
- 北海道北部日本海・オホーツク海(石狩・後志・オホーツク・宗谷・留萌の沖合)⇒5月1日から6月15日まで
- 北海道南部(檜山・渡島・胆振の沖合)⇒6月21日から8月20日まで
- 北海道東部太平洋(日高・十勝・釧路・根室の沖合)⇒7月11日から9月20日まで
禁漁期=産卵期と言うことなので、初夏から初秋にかけてがナマコの産卵期ということになります。
一般に、 魚介類は、卵の成長のために栄養分を使うことから産卵期や産卵後は身が痩せやすいなどと言われることが多いようです。
このことからすると、産卵に向け体力が充実する春や産卵後に体力が回復する冬を”旬”と見ること もできそうです。
魚介類には、俳句の冬の季語になっているものがたくさんありますが、実は「海鼠」(ナマコ)も冬の季語のひとつです。
江戸時代前期の著名な俳諧師である松尾芭蕉の句にも登場するくらいですから、昔から、ナマコの 一番の旬は冬ということになるのかもしれませんね。
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