毒を持つ食べられないナマコはいる?
ナマコは、生のまま、あるいは乾製品にして食されていますが、身に毒が含まれ ていて食べられないナマコがいるのをご存知でしょうか。
ここでは、そのうちの 一種で、日本近海にも生息する「ニセクロナマコ」をご紹介します。
ニセクロナマコとは
全長は20~30cmほどになります。円筒形の、やや細長い体形をしており、 背中には細かな円錐形の突起が多数ついています。
口の周りには20本の触手が あります。
体色は紫黒色です。ニセクロナマコに刺激を与えると、肛門から白色 のネバネバと粘着性の強い「キュビエ氏管」と呼ばれる器官を放出します。
これは、外敵から身を守るためとされています。
日本近海では、紀伊半島や伊豆七島 以南に分布し、潮間帯(ちょうかんたい。満潮時には海中に没し、干潮時には 干上がって陸地になる部分)付近の浅瀬の岩下やサンゴ礁域に生息しています。
身に高濃度の毒を含んでいる
多くのナマコは、身の中に「ホロチュリン」と呼ばれる毒を含んでいます。
日本 で生食されているマナマコもホロチュリンを含んでいますが、その量が少ないた め生食することができます。
一方、ニセクロナマコは、高濃度のホロチュリンを 含んでいるため、生食することができません。
なお、ホロチュリンは、加熱する と分解されます。
ホロチュリンが少量しか含まれていないナマコは、海参※にして食されること もあります。
※海参(いりこ)・・・腸を取り除いた後、塩水で煮て干したナマコの乾製品)
しかしながら、ニセクロナマコには高濃度で含まれていることから、 たとえ加熱したものであっても、ニセクロナマコを食べるのは避けるべきでしょう。
沖縄美ら海水族館(おきなわちゅらうみすいぞくかん)によると、ニセクロナマ コの稀少度は高くはなく(5段階中の5を最も稀少度が高いものとして、ニセク ロナマコは「1」)、普通に見られるナマコとのことです。見つけても食べないようにしましょう。
参考文献: 「美ら海生き物図鑑」(ニセクロナマコ)沖縄美ら海水族館
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