なぜ魚に水銀が含まれるのか?どこからきてるのか?
水銀というのは人体にとって有害な物質です。しかしそもそもどうして魚に水銀が含まれているんでしょう?その水銀はどこから来たのでしょうか。
魚に含まれる水銀はどこからくるのか
私たちが口にする魚に含まれる水銀というのは、元をたどれば海に溶け込んでいるものです。金、銀、銅、亜鉛などなど海水には様々な元素が微量ながら存在しているわけですが、その中の一つに水銀があるのです。
海水の水銀が私たちが口にする魚に移っていく過程を以下に示します。
- 海水に溶け込んだ微量な水銀は最初植物プランクトンに取り込まれます。
- 今度はその植物プランクトンを動物プランクトンが食べ、水銀も一緒に取り込んでしまいます。動物プランクトンはたくさんの植物プランクトンを食べる為、当然蓄積量は何倍にもなります。
- 今度は元の何倍もの水銀を取り込んだ動物プランクトンを、小魚が大量に食べます。小魚に元の何百倍もの水銀が蓄積します。
- 今度は小魚をマグロやクジラ、サメといった大型魚が取り込みます。水銀量は当初の何万倍にもなっています。
つまり食物連鎖の上位にいくほど多量の水銀が蓄積していくことになるのです。このように食物連鎖の過程で有害物質が高濃度蓄積していくことを生物濃縮といいます。
でも魚は有害・・・ではない
上記のような理屈で魚には確かに水銀が含まれています。しかし私たちは普通に魚を食べていますよね。これは魚に含まれている水銀量は、人体になんの影響もないほどに微々たるモノだからです。マグロやクジラのような食物連鎖上位の魚は食べ過ぎは禁物ですが、たまに食べるくらいならなんの問題もありません。
ごく微量であっても妊婦さんやある種の病状を抱える人にとっては有害な事もあるので、摂食制限が必要な場合もあります。
水銀の問題
人間は自然界に存在している水銀を取り出し様々なものに使い始めました。
日本でも飛鳥時代に中国から水銀が伝わってきて以来重宝していましたが、高度経済成長期は特にたくさんの工場で水銀が使われました。
しかし工場の排水で適切な処理をしなかった結果、たくさんの水銀を海に垂れ流すことになってしまいました。
その結果自然界ではありえない量の水銀が魚に蓄積し、それを口にした人間の多くが水銀中毒になるという公害が発生しました。
今では適切な処理がされるようになり、このような公害は少なくなりましたが、自然環境を顧みない経済活動は人間を含めた全ての生命を脅かすということを忘れてはいけません。
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