タラバガニの名前の由来は?
タラバガニと聞くと、「魚の鱈(タラ)と何か関係があるのかな?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、このタラバガニという名前にはどのような由来があるのでしょうか。
タラバガニはそもそもカニではない
タラバガニは、外形はカニに似ていますが、実はカニの仲間ではありません。
貝殻は背負っていないものの、ヤドカリの仲間になります。
これは、メスの腹部が右にねじれて左右不相称※であったり、一般的なカニと違って横方向のみならず縦方向にも移動することができたりするなど、タラバガニにはヤドカリ固有の特徴がみられるからです。
※「相称」(そうしょう)というのは生物学の用語で、「生物の個体または器官が、ある軸や面で互いに同等な部分に区切られること」(『大辞林』初版1998年発行、三省堂)
このため、タラバガニは、動物の分類学上、ヤドカリが属する異尾類(いびるい)に分類されています。
それにもかかわらず、カニと名がつくようになったのは、おそらくは、単純にタラバガニの見た目がカニに似ていることによるのでしょう。
カニではないのにカニと呼ぶのは問題がありそうな気もしますが、タラバガニという呼称が広く普及していたことから、改められることなく標準和名として採用されたという経緯があるようです。
「タラバ」の由来とは
タラバガニの「タラバ」は、漢字で書くと「鱈場」になります。
タラバガニの生息域はタラの生息域と重なっていて、タラの漁をしているときにこのカニも一緒に漁獲されたことからタラバガニという名が付いた、と言われています。
タラバガニの主な生息域は、日本近海では北海道以北、海外は、北半球ではオホーツク海からベーリング海、北極海のアラスカあたりの、水深100~300mほどの砂泥底です。
一方のタラ(例えば、タラの中でも代表的な種であるマダラ)も同じ海域の同じ水深の海底を生息域としているのです。
ヤドカリの仲間というのは少し意外と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、鱈の漁場で獲れるカニ(に似たヤドカリの仲間)だからタラバガニ、ということで、比較的わかりやすいネーミングと言えそうですね。
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