「浅蜊(アサリ)」の名前の由来・漢字の語源
潮干狩りや汁物の具などでお馴染みのアサリ(漢字で書くと「浅蜊」) ですが、その名前の由来や漢字の語源にはいろいろな説があるようです。
ここでは、そのいくつかをご紹介しましょう。
海の浅い場所に棲んでいるから「浅蜊」
アサリは、淡水の影響のある海の砂泥の干潟に棲んでいます。
成貝は深くても水深1mあたりまでと比較的海の浅いところに生息していることから漢字で「浅蜊」と書くようになったとする説があります。
なお、『新明解国語辞典(第四版)』(編者:金田一京助ほか、三省 堂、1989年発行)によるとこの「浅蜊」という漢字は借字(広義で正字の無いもの代わりに漢字を適宜あてる方法のこと)とされています。
「漁(あさ)る」が転じてアサリになった
上記の国語辞典で「漁(あさ)る」を調べてみると、
ほしいものを、(なんとかして)手に入れようとしてありそうな所を探し回る
とあります。アサリの名は、この「漁る」から転じたとする説があります。
ちなみに上記の国語辞典でも貝のアサリの説明として「『漁り』の意」と記載されています。
また日本初の近代的国語辞典とされる『日本辞書 言海』(編者:大槻文彦、1889-1891年発行)では「漁(アサ)リ介(ガヒ)の略カ」と記載されています。
「求食(あさ)る」が転じてアサリになった
万葉集には、水鳥などが干潟で餌を「求食(あさ)る」光景が読まれた歌が登場します。
アサリの名はこの「求食る」から転じたとする説があります。
万葉集では大伴旅人(おおとものたびと。665 - 731年)が、「草香江(くさかえ)の 入江(いりえ)に求食(あさ)る葦鶴(あしたづ)のあなたづたづし友無(ともな)しにして」と、
当時の草香江(現在も福岡県福岡市中央区の地名として残っていますが、現在と違い当時は入り江だったと言われています)の風景を詠んでいます。
またアサリの「サリ」は「砂利」のことで砂利の中にいる貝を意味するという説や他にもいろいろな説があります。
さらに漢字については、「浅蜊」の他「蜊」「鯏」「蛤仔」と書くこともあるようです。
こうしてみると、アサリはなかなか奥が深い貝ですね。
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