アサリの生態まとめ
春になると、干潟で潮干狩りをする光景が見られるようになります。採取される 貝のうち代表的なものとしてアサリがあげられますが、ここでは、アサリの生態 をご紹介したいと思います。
形態などの特徴
1対2枚の貝殻を持つ二枚貝です。
貝殻は、三角形に近い楕円形をしており、 殻長(かくちょう。貝殻の左右の最大幅のこと)は4cm、殻高(かくこう。2枚 の貝殻のつなぎ目がある貝殻の上端から下端の最大幅のこと)は3cmほどになります。
貝殻の表面には、貝殻の上端から放射状に広がる細い筋があり、下端に 行くにつれ筋がやや荒くなっています。
また、貝殻の上端からは、成長肋(せい ちょうろく)と呼ばれる、成長に伴って生じる線が波紋のように広がっています。
貝殻の外側は灰褐色をしたものが比較的多いですが、白や黒色の他、それらが 混ざっているものもあるなど、とても多様です。
表面には変化に富んだ不規則な 模様があります。貝殻の内側は白色をしており、時折、薄紫色を帯びた個体も 見受けられます。
生息域
海に生息し、淡水の影響のある砂泥の干潟に棲んでいます。生息域はとても広く、 日本では、北海道から九州まで日本各地の沿岸、海外では、樺太、朝鮮半島、 中国大陸、インドシナ半島、フィリピンの沿岸に分布しています。
繁殖と成長
日本では、海水温が20度前後となるときに産卵が行われ、関東以南は2回 (春と秋)、東北は1~2回、北海道は1回とされています。
親貝となるオスから精子、メスから卵子が同時に放出され、海中で受精します。 受精後5~10時間ほどで孵化して幼生となり、2~3週間海中を浮遊して過ごし たのち、海底に降ります。
海底に降りた当初は砂礫などに付着して過ごし、 やがて砂泥に潜るようになります。
食性
餌は、海中の珪藻など植物プランクトンや浮遊有機質です。入水管と呼ばれる 管から餌の混じった海水を吸入して餌を漉し取り、出水管から糞などを排出し ます。
縄文・弥生時代の貝塚(中身を食べた後に捨てられた貝殻が堆積した遺跡のこと) から貝殻が見つかっていることから、アサリは、古代から日本人に食されて来た 貝であることがわかっています。
しかしながら、生息環境の悪化などにより、 近年は漁獲量が減少傾向にあるようです。海を汚さないように配慮し、末永く 賞味できるようにしたいものですね。
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