ズワイガニの生態、生息場所・水深など
ズワイガニは、深海に生息するため、その生態が十分に解明されていない部分がありますが、卵から孵化(ふか)した後、数段階の過程を経て成長することがわかっています。
産卵から幼生の孵化へ
メスは、オスと交尾したあと50000~60000粒の卵を産みます。その卵を自ら抱えて 過ごし、1年から1年半ほど経つと卵から幼生(「プレゾエア」と言います)が 孵化します。
成熟したズワイガニとは姿かたちが異なり、プレゾエアの見た目は、蚊の幼虫の ボウフラにちょっと似たところがあります。
全長は3mm程度で、海中を浮遊しながら 孵化後ほどなく脱皮して、次の段階の幼生(「ゾエア」と言います)へと成長します。
ゾエア
ゾエアも、成熟したズワイガニとは姿かたちが異なり、見た目はエビにちょっと 似たところがあります。
海中を浮遊しながら小さなプランクトンを食べて過ごします。
この間1か月ほどの間に数度脱皮し、次の段階の幼生(「メガロッパ」と言い ます)へと成長します。
メガロッパ
メガロッパになると、カニの特徴であるハサミが見られるようになり、姿かたちが成熟したズワイガニに少し近づいて来ます。
海中を浮遊しながら小さなプランクトンを食べて1~3か月ほど過ごし、脱皮して稚ガニとなります。
稚ガニから成熟したズワイガニへ
稚ガニなった後は、主に砂泥できた海底で過ごします。稚ガニの甲幅(甲羅の幅の こと)は3mmほどですが、この後、脱皮を繰り返して大きく成長します。
脱皮の回数はオスとメスでは異なります。メスは稚ガニから成熟して産卵するできるようになるまでに10回もの脱皮を繰り返しますが、オスは個体により回数は様々です。
ズワイガニは、孵化から成熟するまでに8~10年を要し、寿命は10年以上とされていますが、詳細は、まだわかっていません。
餌は、甲殻類、魚類、貝類、イカ類、多毛類(たもうるい。ゴカイの仲間)、棘皮動物(きょくひどうぶつ。ヒトデやナマコの仲間)など様々な餌を食べているとされます。
生息場所・水深など
ズワイガニは、日本近海では、主に次の海域に生息しています。
- オホーツク海:北海道北部沿岸(稚内~網走)から樺太(カラフト)島西部
- 太平洋北部:日本の東北・北関東の太平洋沿岸(青森、岩手、福島、茨城)
- 日本海:富山県以西(富山、石川、福井、京都、兵庫、鳥取、島根、山口と韓国東岸)、新潟県以北(新潟、山形、秋田、青森)、北海道西部沿岸(稚内~積丹半島)
また、海外では、ベーリング海、オホーツク海、太平洋北部および大西洋の北アメリカ大陸沿岸などに生息しています。生息する水深は、200~600mあたりを中心に、深いところでは1000mを超える場所でも見られるようです。生息に適した水温は、0~3℃ほどとされています。
ズワイガニは、幼生や稚ガニの間に魚など他の生物に食べられたりするなど、幾多の危機をくぐり抜け、長い年月を生き抜いた後に私たちの食卓に届きます。余すところなく、美味しくいただきたいものですね。
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