ズワイガニの漁業事情

ズワイガニの漁業事情

ズワイガニに関しては、資源保護を目的とした漁業規制があることがテレビや新聞のニュースなどで報道されており、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

 

ここでは、漁獲量などズワイガニの漁業事情がどうなっているかをご紹介したいと思います。

 

 

水産庁では毎年資源調査を実施

水産庁では、日本近海における各種水産物の漁獲量を管理するために必要な資源調査を実施して、毎年その結果を公表しています。

 

この資源調査では、ズワイガニとベニズワイガニが調査対象に含まれています。

 

生息域ごとの漁獲量

調査結果は、ズワイガニの生息海域ごとにまとめられています。

 

1)「オホーツク海系群」

北海道北部沿岸(稚内~網走)から樺太(カラフト)島西部に広がる海域に生息する群れです。

 

1992年の漁期(7月~翌年6月)には5000トンを超える漁獲量がありましたが、2000年漁期には1000トンを割り込み、2011年漁期には60トンにまで落ち込みました。

 

2015年漁期には900トンを超えるところまで持ち直したものの、傾向としては減少方向にあります。 

 

2)「太平洋北部海系群」

日本の東北・北関東の太平洋沿岸(青森、岩手、福島、茨城)に広がる海域に生息する群れで、福島県沖が主要な漁場になっています。

 

1995年漁期(12月から翌年3月)には漁獲量が過去最高の353トンに達したものの、2000年漁期は107トンまで減少しています。

 

東日本大震災以降は操業停止の影響により漁獲量はわずかです(2015年漁期は7.2トン)。

 

3)「日本海系群」

富山県以西(富山、石川、福井、京都、兵庫、鳥取、島根、山口と韓国東岸)と新潟県以北(新潟、山形、秋田、青森)に広がる海域に生息する群れです。

 

富山県以西では、1960年代半ばと1970年頃には、漁獲量(暦年ベース)が14000トンを超えていましたが、1970年以降に急減し、1988から1993年にかけては2000トンを割り込んでいます。

 

1993年以降は増加に転じたものの、2008年以降は再び減少傾向にあります(2015年では3123トン)。新潟県以北では、1960年代には約1000トン、1980年代に約800トンの漁獲量(暦年ベース)がありましたが、1990年代以降は200から400トンの間で推移しています(2015年の漁獲量は288トン)。

 

4)「北海道西部海系群」

北海道西部沿岸(稚内~積丹半島)に広がる海域に生息する群れです。

 

1986年漁期(7月から翌年6月)には80トンを超える漁獲量がありましたが、1987年漁期以降は20から40トンの間で推移しています(2015年漁期は25トン)。

 

 

ベニズワイガニについて

日本海沿岸(北は青森から西は島根県まで)に広がる海域に生息しています。

 

1984年には5.4万トンの漁獲量がありましたが、その後は減少し、2001年以降は1.5から1.8万トンの間で推移しています(2015年は暫定値で1.5万トン)。韓国の漁獲量が近年増加傾向にあります(2015年は4.2万トン)。

 

旬の時季が始まるとお魚屋さんの店先を彩り、食卓を華やかな雰囲気にしてくれるズワイガニですが、こうしてみると漁獲量は減少傾向にあるようですね。

 

貴重なズワイガニですから、入手できたら無駄なく美味しくいただきましょう。

 

参考文献:「わが国周辺の水産資源の現状を知るために」平成28年度魚種別系群別資源評価(水産庁)
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