「蜆(シジミ)」の名前の由来・漢字の語源

「蜆(シジミ)」の名前の由来・漢字の語源

シジミを漢字で書くと「蜆」となりますが、その名前の由来や漢字の語源には いろいろな説があるようです。ここでは、そのいくつかをご紹介しましょう。

 

 

名前の由来

現在使われている「縮(ちぢ)む」の古語で「縮(しじ)む」という言葉が あります。

 

『古語辞典(新版)』(編者:松村明ほか、旺文社、1981年発行) によると、「縮(しじ)む」とは、「ちぢむ。小さくなる。」と記載されています。

 

平安時代の歴史物語『栄花物語』 (えいがものがたり。正編は1028~34年、続編1092~1107年の間に成立)でも使われている言葉です。

 

なぜ「縮む」?

シジミの貝殻の表面には、貝殻の上端(2枚の 貝殻のつなぎ目がある部分)から、成長肋(せいちょうろく)と呼ばれる、 成長に伴って生じる線が波紋のように広がっています。

 

この線はとても細かく、 貝殻の表面が縮(しじ)んでいるようにも見えることから、それが転じてシジ ミになったとする説があります。

 

この他、煮ると身が縮(しじ)むことから、 それが転じてシジミになったとする説もあります。

 

漢字の語源

へんについて

「蜆」は貝であるにもかかわらず、部首が「虫」へんであることに違和感を 感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

『新明解国語辞典(第四版)』 (編者:金田一京助ほか、三省堂、1989年発行)によると

 

「虫」とは 「涌くようにして生まれて来、地上をはい(飛び)回ったり、池・川や海中・ 地中にすんでいたりする、小さい動物[狭義では、秋(美しい声で)鳴く昆虫 や、人間生活に害を与える寄生虫・害虫などを指す]」

 

と記載されています。

 

貝は、池・川や海中にすむ小さな動物にあたります。つまり広い意味では一応虫にあたることから、虫へんでもおかしくはないのです。

 

つくりについて

では、旁(つくり)の「見」は何を意味するのかということになります。

 

『常用字解』(著者:白川静、平凡社、2003年発行)によると、「見」の 字訓(漢字の訓読み)は「みる・みえる・みせる・あらわれる」と記載され ています。

 

「蜆」という字を分解すると、

 

「虫」(池・川などにすむ小さな 動物)

 

 

「見」(あらわれる)

 

となります。

 

シジミは、湖沼や川などの淡水 域や河口などの汽水域の比較的浅い場所に生息する小さな二枚貝です。

 

この ことから、池・川の浅い場所に現れる小さな貝ということで、漢字で「蜆」 と書くようになったとする説があります。

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