タイワンシジミの生態
シジミは、日本のみならず海外にも生息しています。海外に生息するシジミで 「タイワンシジミ」という種がいるのですが、今、このシジミが日本国内で 増殖しつつあるのをご存知でしょうか。ここでは、外来種の「タイワンシジミ」 をご紹介したいと思います。
形態などの特徴
1対2枚の貝殻を持つ二枚貝です。貝殻は、三角形に近い楕円形をしており、 殻長(かくちょう。貝殻の左右の最大幅のこと)は3cm、殻高(かくこう。 2枚の貝殻のつなぎ目がある貝殻の上端から下端の最大幅のこと)は2.5cm ほどになります。
貝殻の表面には、貝殻の上端から、成長肋(せいちょうろく) と呼ばれる成長に伴って生じる線が波紋のように広がっています。
貝殻の外側 は、光沢があって黄褐色ないし黒褐色をしており、貝殻の内側は、紫色ないし 白色をしています。
形態など、日本の在来種である「マシジミ」と似たところ があり、混同されやすいと言われています。
なお、マシジミは食用として流通 していますが、タイワンシジミは流通していないようです(食べられないこと はないものの、食味に劣ると言われているようです)。
本来の生息域と日本での増殖
本来は、中国南東部、台湾、朝鮮半島、ロシアにある湖沼などの淡水域に生息します。
しかしながら、日本に輸入された食用シジミ類に混在していたタイワ ンシジミが何らかのかたちで日本国内の河川などに放流され、今では、本州か ら九州のほぼ全域で増殖しつつあります。
この増殖により、同じ淡水域に生息 する日本在来種のマシジミが駆逐されつつあることから
環境省/農林水産省 が策定した「生態系被害防止外来種リスト」(正式名称は、『我が国の生態系 等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト』)に掲載され、
注意喚起(”入 れない””捨てない””拡げない”の3原則の周知)がなされています。
繁殖方法とマシジミへの影響
繁殖時期は春とされています。
タイワンシジミは、マシジミと同様、雌雄同体(しゆうどうたい。オスの生殖器官とメスの生殖器官を併せ持つ)の種で、 卵胎生(らんたいせい。卵を胎内で孵化させて子を産む)です。
タイワンシジ ミやマシジミは精子側の遺伝子のみが遺伝します。
タイワンシジミは水中で 大量に放精するため、マシジミがタイワンシジミの精子を吸い込んで受精すると、子はすべてタイワンシジミになるとされています。
タイワンシジミが見つ かると、3~4年でマシジミが消失し、タイワンシジミに置き換わるとする 報告があります。
短い期間で日本の在来種を駆逐し、生息する場所を乗っ取ってしまうなんて何とも恐ろしいシジミです。
食性
餌は、水中の珪藻など植物プランクトンや浮遊有機質です。
入水管と呼ばれる 管から餌の混ざった水を吸入して、えらで餌を漉し取って食べます。
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