サザエの養殖はされてるの?
貝の養殖と言うと、真珠を採るための真珠貝(アコヤガイ)や食用となるホタテ貝などを思い浮かべる方も多いと思いますが、サザエは養殖されているのでしょうか。
養殖物サザエの収穫量
農林水産省の公表資料『農林水産統計」(平成28年)の『海面養殖業魚種別収獲量』を見ると、海で養殖された貝類の収穫量は、全国で371,900トンとなっています。
このうち、ホタテ貝が214,600トン、カキ類が156,800トンで、この2種で貝類のほぼ100%を占めています。
その他の貝類は500トン収穫されていますが、この中にサザエが含まれているかどうかは、資料に注記が無いため不明です(三重県による補足注記によると、この中に含まれるのは、主に、ツブ貝、バイ貝、バカ貝、アカ貝などのようです)。
この統計資料の『海面漁業魚種別漁獲量』によれば、養殖ではなく、海におけるサザエの漁獲量は全国で6,300トンとなっていますので、上述のその他の貝類500トンの一部にサザエが含まれるとしても、養殖物の収穫量はほぼ皆無といってもいいでしょう。
稚貝の養殖
サザエの漁獲量が多い都道府県の水産/海洋センターや漁業共同組合などが公表している資料を見ると、一応わずかながらサザエの養殖は行われていることがわかります。
ただし人口種苗として放流するための稚貝を育てているだけで、成貝にしてそれを出荷するというような産業化が実現しているわけではないようです。
『農林水産統計」(平成28年)/農林水産省
サザエは、放流に適したサイズ(殻の高さ1.5cm)に達するまでに1年以上かかり、漁獲に適したサイズ(殻の蓋の長径が2.6cm以上 *1)に達するまでには、さらに2年程度かかるとされています(兵庫県立農林水産技術総合センターの公表資料による)。
殻の蓋の長径が2.5cm以下のものは、都道府県の規則で採捕禁止とされている場合が多い。
サザエは養殖に適さない?
サザエは、様々な海藻を食べて成長しますが、成長のために大量の海藻が必要になることを考えると、育成コストなどとの兼ね合いで、完全養殖には適さないということなのだろうと思われます。
漁業は、獲った水産物が再生産される自然の力に依存していますが、自然の力のみ頼っていては、安定した漁獲は望めません。
サザエも人口種苗の稚貝が放流されているところをみると、純天然物のサザエは減少傾向にあるのでしょう。入手したサザエは、無駄なく美味しくいただきたいものですね。
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