アナゴの完全養殖の研究状況
世界中で漁獲でき、食材として親しまれているアナゴ。アナゴ専門料理店も少なくありません。ウナギの値段が高騰する昨今、半分近くの値段でお安く手に入るアナゴの需要は増しています。
アナゴの完全養殖が実現すれば、増え続けるアナゴの需要に一層応えることができることでしょう。
しかし完全養殖を実現するには、餌の原料、水温、水質、産卵条件などなど生態の厳密な把握が必要になります。
うなぎの養殖についてはもう20年以上も前から研究が進められていますが、未だ商業レベルで実現していないのは、うなぎの生態に謎が多すぎることが原因です。
飼育が困難で、安定した個体数が維持できないのです。
そしてそれは同じウナギ目のアナゴに関しても同様で、謎の多い生態から、完全養殖は困難を極めています。
最近になってようやくマアナゴの産卵場所や産卵時期がわかってきた程度です。
近大水産研究所の養殖研究
大阪府のアナゴの漁獲量激減が問題になっています。2004年には140トンあった漁獲量も、10年後の2014年にはわずか25トンほどにまで落ち込んでしまったそうです。
そこで危機感を募らせた大阪府泉南市が、近畿大学水産研究所が行っているアナゴ研究の支援を開始しました。
その結果今ではレプトケファルス(のれそれ)から生育させて、養殖アナゴとしておよそ90%を出荷できるようになっています。
これはあくまで稚魚から育てる手法で、卵から育てる完全養殖とは違いますが、研究が進めば完全養殖も実現できるのではと期待が集まっています。
その為にもアナゴの生態解明がカギを握っており、研究は今後も続けられていくでしょう。
|
|