何故うなぎは刺身では食べないの?

何故うなぎは刺身では食べないの?

うなぎは、蒲焼、白焼、ひつまぶし、うな丼、う巻き、うざく(揉んだキュウリとあえた酢の物)、肝焼き、肝吸いなど様々な料理としてで食されています。しかし刺身で食べるというのは、あまり聞いたことが無いですよね。

 

 

うなぎは刺身で食べられるし美味しい

うなぎは、刺身で食べられないわけではありません。例えば、養殖うなぎの一大産地として知られる浜松の魚料理の専門店では、うなぎの刺身を提供していますし、他の地域でも、うなぎの肝刺しを提供するお店があります。

 

味は脂がのっていて、こりこりしており、ほのかな甘みもあり、美味しいです。これを食べてうなぎだとわかる人はおそらくいないでしょう。ただ、一般に広く普及している食べ方とまでは言えません。しかしこれには、理由があります。

 

うなぎには毒がある!?

厚生労働省が公表している資料『自然毒のリスクプロファイル』を見ると、うなぎは「血清毒」というものを持っていることがわかります。

 

[参考文献]『自然毒のリスクプロファイル』(うなぎ類の項・概要版)/厚生労働省

 

 

今のところ、日本国内では食中毒の正式な記録は無いようですが、うなぎの新鮮な血を大量に飲むと、下痢,嘔吐,皮膚の発疹,感覚異常,麻痺,呼吸困難などの症状が引き起こされ、場合によっては死亡することもあるようです。

 

「血液が目や口、傷口に入ると局所的な炎症が引き起こされる。目に入ると激しい灼熱感を覚えるとともに、結膜炎、流涙、まぶたの腫れが引き起こされる。目に異物が入った感じは数日残る。口に入ると灼熱感や粘膜の発赤、流涎が、傷口に入ると炎症、化膿、浮腫などが引き起こされる。こうした症例はウナギ調理人の間では有名で、ウナギ血清毒は食品衛生よりむしろ公衆衛生の点で問題。」

 

との記述もあります。

 

刺身で食べることが一般に広く普及しないのは、血毒の影響を完全に無効化させる為の調理に手間がかかるからでしょう。うなぎを刺身を出しているお店では、血抜きなどの入念に行うことで安全に食べられるようにしています。

 

加熱すれば毒性が消える

上記の資料によると、うなぎの血清毒は60℃、5分の加熱で毒性を失うので、通常の加熱調理をすれば食品衛生上の問題はありません。

 

うなぎの血に毒があるといって、蒲焼きなどの加熱加工された食品に、特に注意書きなどがないのはこの為です。

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