ナマコの密猟問題について

ナマコの密猟問題について

ナマコは、近年、中国などへの輸出が増大し、取引価格も上昇していることから 海の「黒いダイヤ」と呼ばれることもある海産物ですが、これに伴って密漁が 横行する事態が生じています。ここでは、ナマコの密猟問題を取り上げたいと 思います。

 

 

密漁しやすいナマコ

ナマコは、共同漁業権(一定地域の漁業協同組合の組合員が、水面を共同に利用 して漁業を営む権利)の対象となっている地域が多く、免許を受けた漁業協同組合の組合員以外の人が漁獲すると、漁業権侵害として罰せられることがあります。

 

組合員の方たちは、禁漁期や禁漁区を設定したり、漁獲サイズを制限したりする など、日々、ナマコの保全・管理に努めています。

 

しかしながら、その一方で、 高価で比較的容易に漁獲できることから密漁の対象になりやすいと言われていま す。組織的な密漁も横行しており、暴力団など反社会的勢力の資金源になって いるという話もあるようです。

 

日本の重要輸出品目のひとつであるナマコ

ナマコは、日本の重要輸出品目のひとつとなっており、乾燥ナマコや塩蔵ナマコ (ボイルした後に塩漬けしたもの)が中国などに輸出されています。

 

財務省の 『貿易統計』によると、乾燥ナマコについては、2016年には日本から香港向けに 160トン(取引価格は80億円)を超える量が輸出されています。 

 

 

強化される密漁への取り締まり

ナマコが、共同漁業権の対象となることや、重要な輸出品目であることをふまえ、 日本の沿岸域での密漁への取り締まりが強化されています。

 

『平成28年度 水産 白書』の「水産政策」(平成29年度に講じようとする施策)の中では、密漁の 手口の悪質化・巧妙化・広域化に関する記述があり、これらに対して、都道府県、 警察、海上保安庁などによる緊密な連携により対処することが明記されています。

 

漁業権を侵害した場合、謝って済むという話ではなく、場合によっては漁業法違 反として罰金刑に処されることもあります。海でナマコを見かけても、むやみに 持ち帰るのではなく、漁業権の侵害にならないかどうかをあらかじめ確認する ようにしてください。

 

参考文献

『平成29年度 水産施策』(平成28年度 水産白書/農林水産省 水産庁)

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